男性が湖の岸辺でパソコンをつかってライティングをしている

記事を1本書くとき、私は毎回同じ手順を踏んでいます。

紙とペンでネタを書き出す。タブレットに向かって、そのネタを声でGeminiに渡す。箇条書きになったものをClaudeに投げて、分類してもらう。そこから数時間かけて自分で書く。書き終えたら、もう一度Claudeに預けて誤字と矛盾を見てもらう。

一番気をつけているのは最後の一点です。AIに直させすぎない。

これだけAIに頼っておいて矛盾しているようですが、理由があります。きっかけは、あるYouTube番組で聞いた話でした。

追記:これまでは基本的に、この記事に書いた手順で執筆してきました。ただし今回のこの記事は、ネタは私が渡し、組み立てはClaudeが行っています。2026年7月に公開されたClaude Opus 5は、ライティング性能も格段に上がったと個人的に感じています。2026年5月のClaude Opus 4.8でも文章の組み立てを何度か試しましたが、その時点では望むような結果は得られませんでした。

AIが出てきて、ライターの数は適正に戻っていく

YouTubeの番組「Web職TV」で、なかじ氏がこんな興味深いことを言っておられました。AIが出てきて、今までなんちゃってライターだった人々が必要でなくなった。AIは普通の人間よりも良い記事を書くので、底辺にいたライターたちから仕事がなくなってきている。今後も淘汰は進み、増えすぎたライターの数も本来あるべき適正な数に戻っていくだろう。そして、AIより上の質の記事を書ける人は、これからより一層重宝されるだろう。

言い回しは正確ではないかもしれませんが、要旨はこういう話でした。

聞いていて、他人事ではないなと思いました。私が今書いている記事も、AIの方が上手く書けるかもしれません。読者の心に刺さる、AIには書けないような記事を書くこと。求められているのはそこだと思います。

だからこそ、AIに全部を任せるわけにはいきません。任せた分だけ、自分にしか書けないものが薄くなっていきます。

では、どこまで頼ってどこから自分でやるのか。

大工さんが新しい道具を覚えたように

例えば大工さんも、いろんな道具を使いこなして家を建てますよね。昔ながらの道具しか絶対使わないという大工さんは、今はいないはずです。インパクト、レーザー墨出し器、充電式釘打機、マルチツール。そうした新しい道具に、少しずつ慣れていったでしょう。もちろん経験やスキルの差は、個々の大工さんで違いがあります。それでも道具に精通して使いこなすことで、現代の工法に合わせた、より質の高い効率的な仕事ができるようになったはずです。

道具は仕事を速くします。でも、どんな家を建てるかを決めるのは大工さん本人です。

ライティングも同じだと思っています。ツールとしてのAIは、使いこなせるととても便利です。ただ面倒でも、ネタだけ渡してあとはAIに組み立ててもらうというようなことは、あまりしません。記事の根幹になる部分は、まず自分が書きます。

紙とペンから始めて、Gemini、Claudeへ渡す

私のライティングタスクはまずネタをまとめるところから始まります。時間がある時などに少しずつ紙とペンで思いついた内容を書き留めていきます。この時点ではまだトピックを絞りすぎないようにしています。仮にその時に使わないネタであったとしてもストックしておけば、後々良い材料になることがあるからです。

そうしてたくさんのネタを紙に書き出した後、タブレットを使ってGeminiに音声入力で全てのネタを渡します。この自分の言葉で話しながらGeminiにネタを渡すという過程も大切だと思っています。話していくうちに頭の中で内容が整理され、実際の執筆の際にアウトプットしやすい状態になると感じているからです。Geminiに渡したネタは、Geminiが上手にまとめてさらに文章を整えて箇条書きにして出してくれます。こうすると1回で30個くらいのネタができます。

次にパソコンでGeminiを開いて、箇条書きになったネタを今度はClaudeに投げます。Claudeは重たいタスクも難なくこなすので、大量の情報をいっぺんに与えても大丈夫です。Geminiとのチャットをそのまま全部コピペして投げても問題ありません。Claudeには箇条書きになっているネタを、さらに分類分けしてもらいます。この時点である程度形になります。もちろんここから生みの苦しみが始まるのですが、分類分けされたネタがまとまっているので、どんな流れで記事を書けばよいかなどがイメージしやすくなっています。

ここからは自分の仕事

私は今、なるべく一気に全部書くようにしています。流れを大切にしたいからです。途中で止めてしまうと、書いている時の勢いがそこで切れてしまいます。

書いている最中に、どうしても入れたいネタが出てくることもあります。それでも、入れると内容がくどくなったり、遠回りになったりするようであれば、思い切って省きます。惜しいと思うのですが、読者目線での読みやすさを重視しています。

書き上げた後は、何度も推敲します。時にはGoogleドキュメントのウィンドウを複数開いて、どちらの文章が良いかを並べて見比べることもあります。

AIに直させすぎない

そうして形になった原稿を、Claudeに再び投げます。誤字脱字チェック、「」の挿入、見出し作り、修正箇所の洗い出し、裏付け資料の検索などしてもらいます。差別や偏見の強い発言がないか、矛盾した内容がないかなどもチェックしてもらいます。

ここで注意したいのは、AIに修正させ過ぎないということです。あまりにも修正が入りすぎると、自分の個性が削ぎ落とされた味気ない文章になると感じています。例えていうなら、料理を作った後に他の家族に味見をしてもらって味を調える感じです。AIにはいわば薬味を足してもらう、味の微調整をしてもらう、美しく盛り付けしてもらうというイメージで修正してもらうことができます。私はこうした段階を経ることで、より一層自分の理想としていた記事を書けるようになったと実感しています。

キラキラした話は書かない

他にもライティングをするときに気を付けているポイントがあります。それは、ありのままの素の自分を感じてもらうということです。キラキラした話をしようとは思っていません。例えばSNSの写真では、みんな華やかなものをアップしますよね。でも現実は、そんなキラキラした生活ばかりを送っている人はいません。SNSの華やかな投稿ばかりを見ていると、自分と比べて惨めになり落ち込んでしまう。そういう話も聞きますし、私もその気持ちは分かります。なので、ありのままの自分を表現したいなと思っています。この考え方については、Webライティングの心構え|嘘を書かない、誇張しない、失敗談を財産にするに詳しく書きました。

リライト前提で書く

記事を執筆する際には、初めから完璧な記事を書こうとして自分でハードルを上げすぎないようにもしています。リライト前提で記事を作るということです。

推敲はしっかりやりますが、それは書き上げてからの話です。書き始める前から完璧を目指してしまうと、そもそも手が動かなくなります。

特にブログやnoteの記事では、公開した後でも内容を修正したり写真を挿入したりすることが可能です。実際の執筆部分と、装飾や追加修正などのタスクは分けて取り組むと、精神的負担を減らせるかもしれません。

これから直していきたいこと

今後の私個人の努力目標としては、「自分が書きたいこと」より「読者が知りたいこと」を優先すること。他では読めない情報を含めること。読者は開いて数秒で読むか離れるか決まるので、見出しと画像で「読む気」になってもらうようにすること。1文は短くし、接続詞を多用しないようにすること。こうした改善点を意識して取り組んでいきたいと思っています。

どれもテクニックのようでいて、結局は文章力そのものの話だと感じています。

止まらずに書けるようになる

はじめの方でも触れましたが、これからAIに負けない質の高い記事を書いていくことがますます求められるようになると思います。いろいろなツールを使いこなすことで、今までより10%あるいは20%、記事の質を上げることはできるかもしれません。でも土台となる文章力を上げていくことは、避けて通れない喫緊の課題です。

もしライティングの経験がなくて、文章を書くことに抵抗を感じておられる方がいらっしゃれば、次の方法をぜひとも試していただきたいと思っています。これは私も実践して良かったと思う方法です。

それは「小説家を見つけたら」(ショーン・コネリー出演)という、20年以上前に見た映画から学んだトレーニング法です。ただひたすらタイプライターで、途切れることなく文章を作り続けるというものでした。何について書くかは自由です。その時思いついたトピックで大丈夫です。大切なのは、考えなくてもすらすら文章がアウトプットできるようになることです。私もこの方法を試してみましたが、文章を書く際の基礎力を身に付けるという点では役立ったと感じています。

ライティングに慣れる。なるべく止まらずに書けるようになる。それからスキルを磨いていく。

道具はこれからも増えていくはずです。整理も、校正も、資料探しも、AIがやってくれるようになりました。それでも、渡す中身を持っているのは自分だけです。書くものが自分の中から出てこないことには、どの道具も動きません。

だから私は、今日も紙とペンから始めています。

追記:最後にもう1つ。エンジニアのセイト先生が、YouTubeでCursorというAIエディタを紹介しています。

Cursorの補完機能は、書きかけのコードの続きをAIが予測して提案してくれるものです。ただ、これはコードだけでなく自然言語にも効くそうで、セイト先生自身も仕様書や技術系のブログを書くときにこの補完を使って執筆していると話していました。

私はまだ試していません。ただ、紙とペンからGemini、Claudeという今の流れとは別の入り口なので、いずれ試してみたいと思っています。

参考:CursorがClaude CodeやCodexを超えました…。最強AIの料金や使い方を紹介(セイト先生 by AIプログラミングスクールSiiD)。補完機能の話は2分37秒あたりから、文章の執筆に使っているという話は2分53秒あたりです。

CursorがClaude CodeやCodexを超えました…。最強AIの料金や使い方を紹介

ティエラ

40歳を目前に、未経験からプログラミングの学習を始めました。今はフルリモート・フルフレックスのコーダーとして働いています。遠回りした失敗も含めて、正直に記録しています。